北海道TLO設立に係る基礎研究調査 |
吉田 馨(北海道大学先端科学技術共同センター/特許流通アドバイサー) 濱田 康行(北海道大学経済学部経済学科応用経済学講座/教授) 吉田 文和(北海道大学経済学部経済学科経営学講座/教授) 田村 修二(北海道大学先端科学技術共同センター/客員教授) 富田 英禎(北海道東北開発公庫産業支援担当/副調査役) 大野 祐深(潟Wャフコ北海道支部/シニアマネージャー) |
|
|
北海道地区における産学連携をすすめ、大学からの技術移転を目指すTLO(Technology Licencing Organization) 設立が、現在、北海道大学関係者を中心に検討されている。今回は、昨年来の調査を受け継ぎ、北海道地区の大学からの技術移転のためのシーズ調査とニーズ調査を、特にTLO設立に関わらせて行うものである。 | |
|
|
北海道地区の大学からの技術移転のための特許・シーズ集を昨年は、北海道大学を中心に作成した。今年度は、北海道大学以外の大学を重点的にデータを収集し、昨年度の北海道大学の分と合わせて、総括的分析を行うものである。 | |
|
|
北海道の大学における特許取得などの状況 「北海道・大学関連特許・技術シーズ集」正続編を基に、北海道の大学関係者の特許取得(出願中を含む)の動向を分析したい。大学の研究者は、発明者として登録されて、実際の特許申請は共同研究の企業から出願されている場合が多い。 (1)大学別・分野別状況 北海道の大学関係者の特許取得などの件数は、特許庁のデータベースに収録されている件数で1286件あり、そのうち北海道大学が908件で70%を占め、次いで北海学園大学が111件・9%、北見工業大学が83件・6%である。 分野別では工学系が48%で、次いで複合分野19%、薬学系10%、農学系7%、理学系6%である。医学系では旭川医大、農学系で帯広畜産大学、複合分野で千歳科学技術大学のシェアが高い。 (2)出願者別比率 大学関係者の特許取得などの件数のうち、共同研究を行っている企業の出願による件数が843件と、全体の3分の2を占め、本人出願は320件と4分の1に止まる。大学の出願は23件で全体の2%と少なく、公立試験場などは100件で全体の1割を占める。 工学系では企業出願の件数が55%、本人出願36%で、企業出願が比率が高い傾向にある。大学別では、北海道大学と室蘭工業大学で企業出願が7割と高い。反面、北見工業大学、北海道工業大学、北海学園大学では本人出願が企業出願を上回っている。 医学系では企業出願が7割、本人出願が2割で、北海道大学の医学系ではほとんどが企業出願となっている。 |
|
|
|
分野別では、工学系・歯学系で本人出願の比率が全体の4割程度と比較的高いが、他の分野では企業出願が全体の7−8割強を占めており、企業出願が特許取得などの活動の中心となっている。 大学出願は、工学系と複合分野で見られるが、これは特許取得などの件数の7割を占める北海道大学がこの分野で大学出願が多いことが影響している。 公立試験場の出願を中心とする出願は、農学系・水産系・複合分野で比率が高く、この分野に関しては公立試験場との共同研究が多いことを示唆している。 |
![]() |